ボデーの試作とは
~より確かな、安全性と耐久性を求めて~
当社の主要業務は「車のボデー試作」です。
「試作」と聞くと「試しに作る」と感じる方もあるかもしれませんが、実は少し異なります。
というのも、車の試作では「設計が予測した動きと精度」に応えることが最重要だからです。それは、一筋の雨水の動きにまで求められ、想定の結果が出なければ、新しい車は生まれません。
こうした意味で、試作車は「試験のための車」という側面を持ちます。
車が世に出るまでには、さまざまな試験が行われます。
走行耐久試験をはじめ、振動・騒音・悪路・衝突・走行性能に対する試験があり、同じ車種でも、寒冷地仕様の場合は極寒の地に車を運び、試験を行います。
今でこそ、コンピュータである程度の予測がつくため、試作車の製作は50台前後ですが、かつては200台以上を作っていたほど、試作は大がかりな仕事なのです。
そして当社は、ボデーの中でも車の骨格部にあたる、アンダーボデーの試作をメインに行っています。
アンダーボデーは表面からは見えませんが、振動や強度が求められる、足回りの部品が集まる部分です。
だからこそ試作段階では、実際に完成する車よりも精度の高いものを…。そんな思いで日々車に向き合っています。
また、試作をする上で大切な存在となるのが「加工治具」。
試作部品は、まだ世の中に出ていない上に複雑な形ゆえ、製作に時間がかかります。そのため、置いたり支えたりすることで切削や溶接をしやすくし、時間や手間を省くのが治具の役目です。
当社ではこの「試作治具」でも、トヨタ系治具メーカーの中で、品質・納期ともに高い評価を得ています。
こうして当社では「アンダーボデー試作」「試作治具」において、半世紀もの間トヨタのほぼ全ての車種に関わってきました。トヨタ初の高級車「セルシオ」の開発や、「レクサスLFA」で試作と量産に携われたことは、日々の積み重ねの結果だと自負しています。
矢作産業はこれからも、車を陰から支える「試作」という分野にて、量産にはない技術力と開発力を結集していきます。加えて、車の新しい未来の一端を担うとともに、これまで培ってきた職人の技を、他の分野にも活かしていきたいと思っています。